小野小町の生涯を七時期に分け観察して七小町と名づけた。
文才に富み、且つ絶世の美人であった。後に宮中に召出されたが、藤原氏の嫌忌に触れ宮中を退出し、一生を不遇のうちに終わったのである。
〔歌 詞〕
蒔かなくに、何を種とて浮草の、浪の畝々(うねうね)生ひ茂るらん。
草子洗ひに名にしおふ、その(3)深草の少将が、百夜(ももよ)通ひも理(こと わ)りや。
日の本ならば照りもせめ、さりとては又天が下とは。下ゆく水の逢阪(あふさか)の、
庵へ心関寺の、うちも卒都婆(そとば)も袖褄を、引く手あまたの昔は小町。
今は恥し市原野。古跡もきよき清水(きよみず)の、大悲の誓ひかがやきて。
曇りなき世に雲の上、在りし昔はかはらねど、見し玉簾(たまだれ)の、
内やゆかしき、内ぞゆかしき。
〔通 釈〕
蒔かないのに何を種として浮草は浪の畝々に生えて茂るのであろうと、謡曲草子洗でうたった
草の名のついた深草の少将が百夜も小町のもとに通ったのも道理である。日の本といえば
文字の通り、日光が照りもするであろう。それはそうとして、天の下といえば、その下を流れて
行く水の逢うという逢阪の庵へ心がせかれて行く関寺の、内や外にある卒都婆に小町が腰を
下ろせば、その袖褄を引く手が多数あった昔であった。然し今は追い衰えて恥しく市原の里に
こもり、古跡も清い清水寺の観音の御利益は輝いて雲のない世に謡曲鸚鵡小町にある歌の
ように、殿上に仕えていた昔と変らないが、以前見た御殿の御簾が懐かしく思われる。
♪第5回 有楽伯(うらはく)演奏会♪
- 開演日時
- 2010/02/06(土) 17:00開場、17:30開演
- 料金
- 無料
- 賛助出演
- 池上眞吾、白倉柳一、永池あかり、野口静乃、増川彩子、村山佳寿子、吉住秀之、小林真由子(箏・三・尺)
- 出演
- 早稲田大学邦楽3サ─クル 若手OB有志
- 曲目
- 吾妻獅子(峰崎検校)、磯千鳥・新娘道成寺(以上、菊岡検校)、七小町(光崎検校)、乱輪舌(八橋検校)、八重衣(石川勾當)、さらし幻想曲(中能島欣一)ほか
- 場所
- 東京建物八重洲ホ─ル(JR東京駅・八重洲中央口より徒歩2分/東京都中央区八重洲1-9-8/03-3274-0120)